内容に合わせて(?)本のほうも持ち運びやすい四六版,ソフトカバーにしました. (出版社が決めたことですが)
これを読んで,著者が落語好きの携帯電話使いだと思った方,全く違ってます.ごめんなさい.
それにしても,携帯ってほんとにすごいです.そんで,私自身は相変わらず持ってないんです. 何か,思い入れだけあって,使う方はだめ,っていう変な状態です.
と言っておいて何ですが、本当に本当にすごいのはやはり電磁気学の方です。
これは恥ずかしながら、連載して初めてわかったことです。
書く前に,何をどういう順序で,というアウトラインはもちろん立ててありました.
しかし,1年間も書きつづけていれば,色々と破綻も出てくるだろうと思っていました.
ところが,途中から,書けば書くほど,色んなことがぴたぴたと嵌っていくように
なりました.特に意図もしてなかったのに,「ああ,これはこっちの伏線だったのか」
というような具合.
私はミステリーは好きなんですが,良くできたミステリーというのは,さりげなく張られた
伏線が,最後にどんどん収束して,思いもよらなかった結末に論理的に到達する,というのが
実現されているものだと感じています(もちろんこれは私の好みにすぎません).
ちょっと乱暴ではありますが,落語の「落ち」も同じようなものですね.
我々は,「科学論文というのはそういう書き方では駄目だ」と教えられます.
何が問題で何を主張したいのかを,最初に明瞭に打ち出すこと,それに向けて小さくて確実なステップを
踏み,結論で冒頭の主張に到達すること,冒頭の問題に解答を与えることを求められます.
もちろん,それは正しい書き方です.
しかし,こういった気軽な解説本では,そうじゃない書き方があっても良いのかな,という
気がしています.
長くなりましたが,とにかく,この,古典電磁気学という奴,気ままに書いていても,いつの間にか
その底を流れる精緻で壮麗な論理に乗せられて,上質なミステリーみたいに
なってしまうみたいです(お前の本はとてもそんなものじゃないよ,という声も聞こえますが,
まあ,無視).
もちろん,単に論理がきちんとしているだけではこうはならないでしょう.
自然のある側面を間違いなく切り出したものであるからこそ,だと思っています.
うまく言えなくてすみません.うまい言い方を見つけたら,またupします.