研究内容紹介
物性物理学は量子力学抜きでは成り立ちません.では,なぜ殊更に「量子」物性物理学という用語を使用するのでしょうか? それは,原子系を離れて物質として我々が認識する空間スケールで量子系をデザインして量子効果,量子多体効果の研究をする物理学を,他の物性物理学(物質のパラメタの起源を解明するために量子力学を駆使する)と区別するためです.
メタスケールで現れる量子現象を扱うわけですが,この「メタスケール」が実際どれくらいになるかは現象やその他諸事情で大きく異なります.現在の部門名に使用されている「ナノスケール」になることもありますし,もう少し大きいμm程度,あるいは,空間的に1方向はナノスケールでも,他の方向はマクロな大きさを持つ場合もあります.
能書きはともかく,これが,どれほど面白く,広く深い世界を持っているか,そのごく一部に取り組んでいる我々の研究を紹介しましょう. なお,これらの紹介/解説記事は,いずれもこれらの研究に取り組んでいる学生・スタッフの執筆によるものです.
- 量子ドットとその周辺
- 半導体スピン物性
- 横結合型量子ドットを用いたスピン偏極の検出
- 二次元正孔アンチドット格子におけるスピン軌道相互作用の効果
- 希薄磁性半導体(Ga,Mn)Asの強磁性とそのメカニズム
- (Ga,Mn)As磁気トンネルダイオードのスピン注入磁化反転と,整流特性
- 微小超伝導体,微小渦糸系
- 微小Josephsonのマクロ量子コヒーレンスと環境自由度によるデコヒーレンス
- 微小渦糸系の状態
- 量子ホール効果
- 量子ドットを用いた量子ホールエッジ状態の検出とスペクトロスコピー
- 高効率光電変換
実験設備
「研究紹介」でその一部をご紹介したような実験を行うには,様々な装置群を使用します.ここでは,我々が物性研究所内部に所持している実験装置の一部をご紹介しましょう.これらは,いずれも共同利用に供されていて,お申し込みいただければ,どなたでもお使いいただけます.
我々の実験は,これら非常に多くの装置の働きによって成り立っています.毎日黙々と働いてくれる装置そのもの(物理実験装置の常で不調のこともありますが),装置の購入・製作に必要な資金を出してくださった方々,このように便利なものを開発してくださった方々(物理的な原理を見出し,それをここまでの道具に引き上げられた研究者・技術者の皆さんには畏敬の念を禁じえません),製作・メンテナンスに汗を流してくださるメーカーの方々,に改めて感謝申し上げます.
それに,忘れてはならないのが,学生諸君,スタッフの皆さんの努力ですね.我々自身が装置を作ることはもちろん,購入品でも選定のためにメーカーまで出かけてメーカーの皆さんとディスカッションしたり,導入に際してもインフラを整えたり,導入後も周辺整備,実際に使った上での改良,メンテナンスと,これらの装置は砂地のように彼らの汗を吸収してきたものです.その努力に深く感謝します.
実験装置も分類は難しいのですが,ここでは次の4項目に大別してご紹介します.