物性物理学は量子力学抜きでは成り立ちません.では,なぜ殊更に「量子」物性物理学と
いう用語を使用するのでしょうか?
それは,原子系を離れて物質として我々が認識する空間スケールで量子系をデザインして量子効果,
量子多体効果の研究をする物理学を,他の物性物理学(物質のパラメタの起源を解明するために
量子力学を駆使する)と区別するためです.
メタスケールで現れる量子現象を扱うわけですが,この「メタスケール」が実際どれくらいになるかは 現象やその他諸事情で大きく異なります.現在の部門名に使用されている「ナノスケール」になることも ありますし,もう少し大きいμm程度,あるいは,空間的に1方向はナノスケールでも, 他の方向はマクロな大きさを持つ場合もあります.
能書きはともかく,これが,どれほど面白く,広く深い世界を持っているか, そのごく一部に取り組んでいる我々の研究を紹介しましょう.
なお,これらの紹介/解説記事は,いずれもこれらの研究に取り組んでいる学生・スタッフの執筆によるものです.